「売れる文章・キャッチコピーが書けるようになりたい!」
その一心で手に取った一冊が「ドリルを売るには穴を売れ」でした。
Webコンサルタントとしてビジネス課題と向き合う中で、「なぜ売れないのか」「どうすれば顧客に響くのか」という問いに立ち返ることが多くあります。
そんな時、この本の教えが、正しい方向へと導いてくれました。
今回は、この名著から得られる学びと、特にWebビジネスでの実践方法について紹介します。
この記事を書いている人

- Audible利用歴5年
- SEO検定1級合格
- 東証スタンダード会社員










『ドリルを売るなら穴を売れ』とは?本の基本情報を紹介
本書の要約に入る前に、まずは「ドリルを売るなら穴を売れ」がどのような本なのか、基本情報から見ていきましょう。
著者の佐藤義典(さとう よしのり)さんは、大手外資系企業のP&Gで「P&Gマーケティング大学」の学長を務め、その後、経営コンサルタントとして独立したマーケティング戦略の専門家です。
数々の企業の課題を解決してきたプロが、その知識と経験を凝縮して書き上げた一冊です。
この本は、こんな人におすすめです
- マーケティングの知識がまったくない初心者の方
- 営業成績が伸びずに悩んでいる営業職の方
- 良い商品を作っているのに、なぜか売れないと感じている開発担当者
- ブログやSNSで収益を上げたいと考えている方
- 会社の売上を上げるための具体的な方法を知りたい経営者
本書は、専門用語を極力使わず、レストランの再建というストーリー仕立てで話が進むため、活字が苦手な方でも楽しみながらマーケティングの本質を学べます。
| 項目 | 内容 | 
| 書名 | ドリルを売るには穴を売れ | 
| 著者 | 佐藤 義典 | 
| 出版社 | 青春出版社 | 
| 発売日 | 2006年12月16日 | 
| ページ数 | 237ページ | 
なぜ売れる?『ドリルを売るなら穴を売れ』が教える本質【要約】

結論、本書を読めば「売る力」が身につきます。
なぜなら、マーケティングの本質を理解できるからです。
例えば、りんごが欲しい人にわかめを売っても買ってくれません。本書を読めば、りんごが欲しい人にたくさんのりんごを売ることができます。
マーケティングに関する書籍は数多く存在します。テクニックやトレンドを追いかけた本、成功事例を紹介する本、理論を掘り下げた本など、その種類は実に様々です。
しかし「ドリルを売るには穴を売れ」が特別なのは、マーケティングの「原理原則」に焦点を当て、それをストーリー形式で分かりやすく伝えている点にあります。
難しいマーケティングも、漫画のように楽しくマーケティングを学べます。
対話形式ストーリーで理解しやすい【レビュー感想】
「ドリルを売るには穴を売れ」の主人公は、閉店の危機に瀕したレストランを立て直すという課題に挑む新人社員です。
先輩からマーケティングの基本を学び、店舗を改善していく過程が描かれています。
ストーリー形式なので「なるほど、これがベネフィットか」「こうやってターゲットを絞るのか」と、マーケティングの本質がしっかりと学べる構成になっています。
マーケティングを学ぶことに抵抗を感じていた方や、これまで難しい専門書に挫折してきた方にとって、この本は最適な入門書と言えるでしょう。
マーケティングの普遍原則|ベネフィット・セグメンテーション・差別化・4P分析【4つの理論】
本書では、マーケティングの重要な4つの理論が紹介されています。
- ベネフィット: 顧客が本当に得たい価値
- セグメンテーションとターゲット: 価値を届けたい相手
- 差別化: 競合ではなく自社が選ばれる理由
- 4P: 価値を具体的に届ける方法
これらはバラバラの知識ではありません。実は、この4つは順番に考えていくことで、一つの強力なマーケティング戦略の流れになります。
ベネフィット
この本で何度も出てくる言葉が「ベネフィット」です。 ベネフィットとは、商品やサービスからお客さんが得られる「幸せな未来」を指します。
例えば、ドリルを買う人のベネフィットは「穴」です。ドリルそのものではなく、ドリルで開けた「穴」が欲しい、という考え方がベネフィットです。
人は、自分の望みがその商品で叶うと思ったときに、購入を決めます。商品が売れずに悩んでいる場合、性能や特徴だけを伝えていることが多く、ベネフィットを伝えていないケースが多いです。
商品のベネフィットを見つける方法は「なぜ」を繰り返すこと。 「なぜこの機能が必要か?」「その機能でお客さんは何を得するのか?」と深く考えていくと、本当のベネフィットが見えてきます。
ベネフィットは2種類
ベネフィットには2種類あります。
- 機能的ベネフィット
- 感情的ベネフィット
例えば、
ルイヴィトンは、
なぜ人気があるのか?
理由は2つあります。
- 壊れないから(機能的ベネフィット)
- 自慢したいから(感情的ベネフィット)
今売れている商品は、両方のベネフィットを満たしていることが多いです。
セグメンテーションとターゲット
マーケティングは、すべての人に対して同じアプローチをするのではなく、市場を分割(セグメンテーション)し、特定のターゲットに焦点を当てることが重要です。
なぜなら、売上が最大化できるからです。
セグメントは「お客さんをグループ分けすること」です。たとえば、洋服店を経営している場合、お店に来るお客さんは年齢も違えば、好みも違いますよね。
10代の女子高生と40代の主婦では、欲しい服も、使えるお金も、買い物をする頻度も全然違います。
これがセグメントの基本です。
お客さんを「似た特徴や行動パターンを持つグループ」に分けることで、それぞれのグループに合わせた商品やサービス、マーケティング方法を考えることができます。
- 人口統計学的セグメント: 年齢、性別、収入、職業、家族構成など
- 地理的セグメント: 住んでいる場所(都会か田舎か、どの国や地域かなど)
- 心理的セグメント: 価値観、ライフスタイル、趣味、関心事
- 行動的セグメント: 購買頻度、使用量、ブランドロイヤルティ、購買の動機
差別化

競合との差別化は、商品を売る上で重要な考え方です。
なぜなら、競争相手もお客様にとっての価値を考え、商品を売るための工夫をしているからです。例えば、マクドナルドの競争相手はロッテリアやモスバーガーです。これらのお店は、季節限定のメニューや価格で違いを出しています。
競争相手よりも優れた価値を届けないと、お客様が他のお店に移ってしまい、商品は売れなくなります。だからこそ、他社との違いを明確にする必要があるのです。
他の会社との違いをはっきりさせるには、自社だけが持つ長所やお客様に届けられる価値を明確にすることが大切です。
4P(フォーピー)分析

4P分析とは、商品やサービスの新しい魅力を見つけるための分析方法です。
商品を売る場所や方法を見直すことで、その良さをまだ知らない人にも届けられるようになるため、売上を大きく伸ばすのに役立ちます。四つの要素の頭文字をとって「4P」と呼ばれています。
- 製品・サービス【Product】
- 流通・チャネル【Place】
- 広告・販促【Promotion】
- 価格【Price】
この4つの要素をうまく組み合わせることで、売上を伸ばすための計画を立てられます。
どれだけ良い商品(Product)でも、お客様が買いやすい価格(Price)で、手に取りやすい場所(Place)で売り、商品の魅力が伝わる宣伝(Promotion)をしなければ、なかなか売れません。
製品・サービス【Product】
4P分析の「製品・サービス」とは、お客様に提供する商品や体験のすべてを指します。これは、お客様が感じる魅力や満足感そのものです。
例えばマクドナルドでは、「手軽に美味しいハンバーガー」だけが商品ではありません。店員の「0円スマイル」や楽しいキャラクターも、お客様が体験するサービスの大切な一部です。
流通・チャネル【Place】
「Place」は、製品をお客様へ届けるための流通経路を指します。 店舗の立地や営業時間、インターネット販売での買いやすさや配送方法などが当てはまります。
例えばマクドナルドには、店舗での直接販売のほかに、デリバリーやドライブスルーといった届け方があります。
このように店舗の数を増やしたり、届け方を多様にしたりして、お客様が製品を手に取る機会を増やすことが、売上の増加につながります。
広告・販促【Promotion】
広告・販促とは、「商品の存在や特徴をどのように広めるか」を考えることです。 Promotion「プロモーション」は、製品の魅力を伝えるためのあらゆる活動を指します。
例えば、テレビCMやSNS広告のほかに、お店での実演販売、影響力のある人との協力、期間限定の催しなどもこれにあたります。
Google広告へ出稿したり、テレビCMを放送したり、インスタグラムへ投稿したりすることもプロモーションの一例です。お客様に「この商品が欲しい」と感じてもらうための全ての取り組みが「プロモーション」になります。
価格【Price】
「価格」では、商品の値段そのものだけでなく、支払い方法についても考えます。
商品の値段設定に加えて、支払い方法を増やすことも購入を促す一つの手段です。これにより、使える支払い方法が限られていたお客様も購入しやすくなります。
具体的には、クーポン券を発行する、割引を行う、セット購入で安くするといった方法があります。
マーケティング戦略の4ステップ【まとめ】
4つの理論は、以下の流れでつながっています。
すべての始まりは、「お客さんは何に困っていて、どうなりたいのか?」を考えることです。商品の機能ではなく、顧客が得られる「嬉しい未来(穴)」を見つけます。
見つけた価値を、すべての人に届けようとするのは非効率です。その価値を「最も喜んでくれるのは誰か?」を考え、顧客をグループ分け(セグメンテーション)し、狙う相手(ターゲット)を絞ります。
ターゲットにした市場には、必ず競合がいます。その競合ではなく、自社の商品を選んでもらうための「ユニークな理由」を明確にします。
最後に、これまで考えてきた戦略を具体的な行動計画に落とし込みます。どのような製品(Product)を、いくら(Price)で、どこで(Place)、どうやって知らせるか(Promotion)を決めます。
この流れを意識するだけで、頭の中が整理され、一貫性のある戦略を立てられるようになります。
読んだだけで終わらせない!明日からできる3つの実践ステップ
この本の知識を「知っている」で終わらせず、「使える」スキルにするために、明日からできる簡単な3つのステップを紹介します。
ぜひ、ご自身のビジネスや商品に当てはめて試してみてください。
ステップ1:あなたの「顧客」は誰か?具体的に1人、描いてみよう
まずは、あなたの商品やサービスを使ってくれる理想のお客さんを、たった1人、具体的に想像してみましょう。「30代の女性」のような、あいまいな設定では不十分です。
例えば、以下のように、その人の顔が思い浮かぶくらい具体的に書き出します。
- 名前: 田中 さとみ さん
- 年齢: 32歳
- 職業: 都内のIT企業で働く事務職
- 悩み: 最近、仕事が忙しくて外食が増え、肌荒れと体重増加に悩んでいる。自炊したいけど、平日は疲れていて料理する気力がない。
このように具体的に人物像を設定することで、その人が本当に求めているもの(ベネフィット)が見えやすくなります。
ステップ2:その人が本当に求めている「穴(ベネフィット)」を3つ書き出してみよう
次に、ステップ1で設定した人が、あなたの商品を通じて何を得たいのかを考えます。商品の「機能」ではなく、それによって得られる「嬉しい未来」を書き出しましょう。
例えば、あなたが「時短料理ができるミールキット」を売っているとします。
- 機能的な価値: 15分で栄養バランスの取れた夕食が作れる。
- 感情的な価値(ベネフィット):
- 疲れて帰っても、罪悪感なく美味しい手料理が食べられる。
- 料理の時間が減ることで、夜にドラマを見る余裕が生まれる。
- 健康的な食生活で、肌の調子が良くなり自信が持てる。
 
機能ではなく、この「感情的な価値」こそ、顧客の心に響くメッセージになります。
ステップ3:競合と自社の「違い」を比較表にしてみよう
最後に、競合ではなく、あなたの商品が選ばれる理由を明確にします。
本書で紹介されている3つの差別化軸(手軽軸、商品軸、密着軸)を使って、簡単な比較表を作ってみましょう。
| 観点 | A社(競合:大手ネットスーパー) | B社(競合:高級ミールキット) | 自社 | 
| 手軽軸(価格・利便性) | 〇(安い) | △(高い) | 〇(価格は中間) | 
|---|---|---|---|
| 商品軸(品質・機能) | △(普通) | ◎(高品質) | 〇(管理栄養士監修) | 
| 密着軸(サポート・個別対応) | ×(なし) | △(メールのみ) | ◎(LINEで献立相談OK) | 
この表を作ると、「うちは価格や品質も悪くないけど、一番の強みはLINEでの手厚いサポートだな」というように、アピールすべき独自の強み(差別化ポイント)がはっきりと見えてきます。
ベネフィットを見直す:ランナー向けサプリで月間販売数を30件にした実体験
ベネフィットを使ったWeb広告の改善体験談を紹介します。
筆者が「ランナー向けのサプリメントを販売するお店」のWeb広告を担当していたときの話です。 サプリメントは、品質も良く、求める人もいるはずでした。 しかし、Web広告に100万円を使っても、月に1個しか売れない状態でした。

筆者が担当して3ヶ月経っても販売数は変わらず、私は自信を無くしました。
筆者を信じて広告費を任せてくれたのに、期待に応えられていなかったからです。
「何が原因なのだろう?」
そう悩み、広告を届ける相手を見直したり、文章を直したり、商品ページを改善したりしました。しかし、結果は出ませんでした。
転機となった一冊の本
希望が見えない気持ちで本屋へ行った日、『ドリルを売るには穴を売れ』という題名の本を見つけました。
少しだけ立ち読みしたところ 「人は商品そのものではなく、商品から得られる未来を求めている」という内容を目にしました。
この言葉に、頭を殴られたような衝撃を受けました。
筆者は、サプリメントの成分や品質、価格といった「ドリル」そのものを売ろうとしていたのです。 しかし、ランナーが求めていたのは「穴」、つまり、走る能力の向上や、疲れが早く取れること、怪我を防ぐことといった、サプリメントを使った先にある未来でした。
広告のやり方を変えました
この発見を元に、広告のやり方を最初から考え直しました。
- 前の広告: 「良い材料を使ったランナー向けサプリ。30日分3,980円」
- 新しい広告: 「マラソンの記録を伸ばしたいあなたへ。レース後の疲れが取れる時間を半分にします。次の大会で、本当の力を出すために。」
同じ商品でも、伝え方を変えるとお客様の反応が大きく変わりました。 商品の説明をするのではなく、商品を使うことでお客様の毎日がどう良くなるのかを伝えたのです。
想像以上の結果(売上30倍)
結果は、想像以上でした。
同じ100万円の広告費で、月に売れる数が1個から30個に増えたのです。
お客様の表情も明るくなり、「ありがとう」と言ってもらえました。お客様は別の商品の宣伝も私に任せてくれることになり、結果、私は月間MVPを達成しました。
学んだこと
この経験から学んだのは、宣伝で大切なのは「商品」ではなく「価値」を伝えることだという点です。 人は物を買うのではなく、その物が自分の生活をどう変えてくれるかにお金を払います。
広告を運用する技術も大切ですが、それよりも、お客様が何を求めているかを理解することが重要です。
これは広告に限らず、人と話すときにも当てはまることだと考えています。
まとめ【要約:ドリルを売るには穴を売れ】
まとめです。
結論として、本書を読むことで、商品を売る力が身につきます。それは、マーケティングの本質を理解できるためです。
本書を読まないリスク
- アクセス数はあるのに、ブログからの収益がない
- 新商品がなかなか売れない
- 競合商品に顧客を奪われている
本書は1,000円です。
たった1,000円で、将来にわたって役立つ「ベネフィット考案力=売る力」を習得できます。
市場価値を高め、食いっぱぐれないスキルを身に着けたい方は、ぜひ本書をお読みください。
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